| Q: | 競技から離れて5年以上経つけどまだウェイトは気にする? |
| A: | もちろん。やっぱり太るの嫌だし、手首で判断できるんだ。体が絞れている時は手首をつかんでも骨の感覚しかない。今は、まぁ普通かな。 |
| Q: | 手首?それは初耳だね。自分の場合は目を下に向けて頬の肉が見えたらやばい。実は今ちょっと見える・・ さて長距離という競技をやったお陰で身についたこととかって何だろう? |
| A: | 高校・大学という16?22才という時期に陸上をやり通せたことはすごく良かったと思う。人格を形成する上で非常に良い影響を受けた。陸上だけに限らず、何か1つをやり通すってすごく大切なことでしょ。それが今の仕事や生活にも役立ってると思うし。 手抜きしようと思えばいくらでもできるけど、何より自分が見てるし、中途半端なことはできないよね。それは長距離特有だと思う。全部自分に跳ね返ってくるからね。 |
| Q: | なるほど。では選手としての満足度は? |
| A: | 実はそんなこといってても後悔と反省ばっかりだよ。後悔:満足=8:2
くらいかな。ああしてば良かった、こうしておけば良かった、って。個人としての後悔と長距離キャプテンとしての後悔がある。 実は劣等感が結構あって自分で勝手に限界を決めてたこともあるよ。自分はこんなモンだろ、とかこいつには勝てないな、とか。朝練はしてなかったし。自分の体の本当の強さにも最後の方になってやっと気づいたし。キャプテンとしてもっと他の選手と個別に対応もできたろうし。挙げたら切りないよ・・ |
| Q: | いやいや強かったよ。特に4年生の夏は。あの秘密は何? |
| A: | 就職も決まったし陸上だけに集中できるようになった。終りも近づいているし、迷いが無くなった。苦手な朝も走るようになり、暑い夏場だったけど1日3回走ってた。親に死ぬんじゃないかって心配されるくらい走った。そこで気づいたんだ、自分の体の強さに。これだけやっても大丈夫だったんだって。客観的に見ても5000m14分台くらいで走れたと思うよ。 |
| Q: | たとえキャリアの最後の方でもそのレベルまで行けたことは満足には入るんでしょ? |
| A: | いや、そうでもないかな。そこで中途半端に見えちゃったから余計後悔が大きくなったかも。もっと早く自分が思ってた限界を突破できたかもな?って。 |
| Q: | あー、そうなんだ。現役時代の自分を自分でコーチしたいとかって思わない? |
| A: | 思うね。 |
| Q: | でもそんなことできないんだから何かしないとね。部の代が変わる時にノウハウの引き継ぎとかってなかったでしょ?うちらも後輩に対して何もやってないし。毎日見てくれるコーチがいない部こそそういうのをきちんとやる必要があると思う。代が変わる度にまた1から作り上げないといけなくなってしまうんだよね。 さて、では印象に残ってるレースは? |
| A: | 大学1年の時の全日本大学駅伝。体の調子も良くて軽かったし、大舞台ということもありすごく印象に残ってる。全国のレベルを肌で感じ取れた。1年のときは先輩に連れて行ってもらったものだし、あの大舞台をみんなに味わってほしくてキャプテンがんばってたんだけど、ダメだった。 あとは4年時の全日本大学駅伝予選のハーフマラソン。残り1キロのところで脱水症状で倒れた。あと少し酸素ボンベが遅かったらマジで死んでたよ。舌がどんどん奥の方に入って来て、意識がどんどん薄れていって死を感じた。昔の記憶が走馬灯のように駆け巡るってアレ本当だね。 |
| Q: | ・・そこまでひどかったなんて知らなかった。 |
| A: | 本当にいろいろ反省と後悔ばっかり浮かんじゃうよね。でも陸上競技を終えて自分を客観的に見たときにそう感じている人って多いと思うよ。俺らのレベルの人って特に。だから今陸上競技に携わっている人には頑張ってほしいとなおさら強く思うよね。 |
| Q: | いやいや、初めてかもね、こうやって二人で話すの。お互い意地っ張りの面があるからライバル視して敬遠してたんだろうね。 |
| A: | それはありますね(笑)。でも土屋さんのやり方見てて面白いな、とは思ってました。同じ長距離でもアプローチの仕方が全然違いましたし。 |
| Q: | ナオナオのアプローチの仕方とは? |
| A: | 僕のやり方ってまず距離を踏むことが大前提で、月間600キロ走ればその練習強度に関らず、5000m14分台で走れるという目安はありました。身近にすごい量をこなすのりぴー(私の2つ上の先輩)という目標がありましたし、そのやり方が自分にも合ってると思ってやってました。でも土屋さんは違いましたよね? |
| Q: | まず1000mをきちんと走れること、という前提があって、次に1500m。1500mが走れなければ5000mで勝てないと思ってた。そしてその延長に10000m、ハーフマラソンがあると思ってた。1000m→1500m→2000m→3000m→5000m→10000m→ハーフマラソン、ってテリトリーを広げて行こう、って感じだったかな。2000mで終わっちゃったけど。 |
| A: | 実は今そのアプローチをしようと思ってて1000mを2’35”くらいで走りたいんですよ。そしたら5000mのレースで2’45”で入っても大丈夫かなって。今後の自己ベストの目標は、 1000m2’35”、2000m5’35”、3000m8’30”、5000mは・・お楽しみに。 |
| Q: | 面白いね。1000mを2’35”で走れて徐々に距離を伸ばせれば5000mいいタイム出るだろうね。ナオナオが1?2年生の頃、15’01”で走ることもあれば17’かかることもあったでしょ?あれは何? |
| A: | まだ手探りだったんです。自分の波長が合うところが見つけられなかった。でもどんどん未開の部分に踏み出していく勇気はありました。すごく速いタイムでもどんどん突っ込んでみる。失うものは何もないですから。そしてある時、タイムを特に設定しないでペース走をやった時に見つけたんです。速いタイムでもきつくなく走れる部分を。それからは結構安定していいタイムが出るようになりました。でも今でも残念なのがそのさらに上の段階を見つけられなかったことですね。だから今はちょっと違うアプローチをしようかなと。 |
| Q: | そうやって試行錯誤して練習するのって単純に楽しいよね。試合前ってどうやってメンタル作ってたの? |
| A: | 僕の場合はエースの自覚です。自分がやらなきゃ誰がやる、って。後は徹底的に相手を見下します。 |
| Q: | す、すごい・・。質問を変えよう。キャプテンとして部をどうやって強くしようと考えてたのかな? |
| A: | できるだけ「こうするな」というのでなく「こうした方がいいんじゃないか」っていう言い回しを心がけてました。でも自分がこれだけやってるんだからお前らもガタガタいわずやれよ、っていうスタンスはありましたね。そこはちょっと子供だったかなと反省してます。もっとそれぞれの選手に合った接し方ができたかなと。 後は、もっといい循環を作りたかったですね。誰かが壁破ったら、あいつができるんだったら俺も、そして俺もってどんどん続いてくれるような循環を作りたかったですけど。 |
| Q: | そうやって刺激し合って相乗効果で強くなれるのが部で活動する大きなメリットだもんね。走り方で何か工夫があれば聞かせてください。 |
| A: | もちろん水平に走ることですが、僕の場合腰が入っていない水平移動だったんで今はきちんと腰の入った水平移動を身に付けようとしています。 |
| Q: | 元SB食品の平塚さんはすごくいいお手本だと思うよ。背骨のアーチがきれいに出来てて理想的な走りだった。あとは今(2004年現在)だったら日清食品のジュリアス・ギタヒ。 |
| A: | あー、なるほど。僕はきれいな水平移動できてなくて14’47”で走れたのだから改善されればもっといいタイム出るだろう、って思ってます。 |
| Q: | さっすが。今後何かやりたいこととかってある? |
| A: | 実は僕も陸上のクラブ持ちたいです。先日テレビ見てたらサッカーの稲本を育てたプログラム(日本サッカー協会のトレセン活動のこと。現役を退いたJリーガー等が指導している。)の番組やってて小学校4?6年生をいかに育てるかが重要みたいなこといってました。練習終わったらすぐに食事取らせてました。そうやって陸上選手を育てる環境ってないじゃないですか。その後自分に合う競技に出会って陸上を離れてしまってもそれはそれで良いと思う。結果的に陸上やってほしいですけど。 |
| Q: | そういう環境で育ってどんどん世界目指してほしいね。佐久長聖の高校生とかもどんどんワールドデビューしてほしいし。さて、そろそろ終電かな。今日はありがとう。 |
| A: | いえいえ。また別の機会にお話しましょう。 |
